・ ヤマノススメ
ヤマノススメ完ッッッ!!!!! と言わざるをえない完成度の、二人の登山ストーリー最終編。
富士登山編は明暗をクッキリ分けた演出が印象的でしたが、葉書というガジェットを巧みに使うことで光と闇をクロスさせ、積んだ要素を最大限に使いこなしていました。
あそこで時間と場所を飛び越えて真心と喜びがやってくる、圧倒的な叙情性。
下げて下げて上がる瞬間として、完璧な演出でした。

今までやってきた登山の意味と、自信の成長を振り返る展開を考えると、自分から扉を開けて思い出の山に向かう自発性は絶対必要だし、同時にその切っ掛けも大事。
両方を叶えるまさに魔法の手紙であり、綺麗な展開だぁと心から感心しました。
晴れた心そのままに圧倒的に美麗な背景作画も相まって、作中人物の心にシンクロしまくりな展開。
素晴らしい。

そして目と目が合う瞬間好きだと気付くしかない、ひなたさんとの邂逅。
待って待って待って、最高のタイミングを逃さず人生を引っ張り上げる手腕は愛故でしょうな。
抱え込んでいる感情の重たさを表に出さず、笑いを交えた関係を維持できる辺り、ひなたはやっぱ大人なんだと思います。
そこら辺は、とにかくグイグイ行きたいここなちゃんといい対比で描かれてましたね。

グラヴィティレズが重力の虹をかける話としてだけではなく、登山に出会ってネガティブ女子が変化していく話としても、今回はよくまとまっておりました。
一期と同じ所をその時持っていなかった気配りで歩き、その時は行けなかった"その先"へと二人で歩いて行く。
"スタッカート・デイズ"を効果的に差し込んだ分、やや抑えた演出でじっくり飲み込ませる演出が良かったです。
最後のモノローグも、物語全体を取りまとめる素晴らしいものでした。

本当に綺麗に取りまとめていて、いい最終回だった……という定型句を使わざるを得ない。
でも2クール目があるんじゃ……これだけ綺麗にテーマ消化しちゃって、何をやるのだろうか。
気持ちは整ったけど成果はでていないから、幾らでもやれるか。
ヤマノススメ後半戦、楽しみですね。

 

・ アイカツ
アイカツ二期、最終話でございました。
シリーズそれ自体は継続なので"終わり"という感じのしない、続いていく最終回でした。
これをやるためにあかりちゃんの半年早い登場があったと思うので、非常にアイカツ二期らしいエンドマークでした。

今回のお話は各キャラクター・各要素の総括と、それを受けて新しく物語を始めるあかりちゃんの描写でギッシリでした。
「とりあえず画面に全員写せ! 全員だ!!」と言わんばかりに、賑やかに画面を彩る女の子たちの姿にファンサービスを感じる。
おとめを筆頭とするネームド層だけではなく、話の主役にならなかったクラスメイト達もガンガン出ていたのは嬉しかった。
一期前半、まだお仕事が少なくて学園が舞台になることが多かった頃、いちごちゃんの楽しそうな日常を彩ってくれたあの子達のこと、俺好きなんだ……(純情ドルヲタボーイ爆誕)


さておき、キャラの総括という意味ではやはりWMの二人。
前回初の敗北を味わうことでようやく人間に戻れた美月さんが、凄まじくあざとい動きを見せていて死ぬかと思った。
『自分が泣くイキモノなのだという、至極当たり前で大切なこと』に気づいたからこそ、泣き顔は見せられず、見送りにはいけない。
「神埼フェレっ太」がどう考えても同性婚と養子縁組の隠語であることも引っ括めて、みづみくはキまくってました。

結局見送りに行く辺り美月さんも強いなと思いますが、『空港での見送り』というシーンで思い出すのはやはり一期最終回、いちごちゃんを送り出したあおい姐さんなわけです。
誰かに支えられ、誰かを支えられて高く伸びるという、自分にはない可能性を星宮いちごに見て取り、憧れていた美月さん。
結局いちごちゃんは美月さんのパートナーには為らなかったわけですが、みくるという運命の一人を見付けて、同じ位置までやってくることが出来た。
延々ただひたすらに強かった美月さんを、頼もしくそして心細く見守ってきた一キモヲタとしては、あのシーンは本当に感慨深かったです。
「ああ……美月さんは、あおい姐さんが欲しかったんだ……」と書くと、とたんに神崎美月=白面説が出てきて大惨事なのでこの発想はもう終わりです。

もう一つ総括されていたのはドリームアカデミーの面々なのですが、正直残酷な絵面でした。
対等なライバルというのであれば、スターライトの発表会にたった四人のアイドルが顔を出すのではなく、それこそ合同学園祭のように全てが入り混じった場が用意されてしかるべき。
しかし話を纏めるこの段階で提示されたのは、圧倒的にスターライト上位の場所と展開。
ティアラ学園長が頭を下げ、織姫学園長がそれを聞いている構図は、余りに的確にドリアカの位置を示す絵過ぎてヤバかった。


そして、二年間主人公を担当したいちごちゃんから、三期の主人公を担当するあかりちゃんへのバトンタッチ。
一期が『カレンダーガール』長回しでいちごとあおいの物語の"完成"を見せたのに対し、二期は『SHINING LINE』をバックにアイカツ!の"達成"と"進展"を描いていました。
ココらへん、一年間でアイカツ! というIPの扱いがどう変わったか見て取れ、面白いところです。
女の子同士が追いかけっこして終わりになるのは、戦コレ最終回思い出してホッコリしますね。

自分をアイドル活動に導いた美月さんに勝利したことで、いちごちゃんのお話は一応の決着を迎えており、というか一期で既に人間的な成長という面では完成しているわけで、こういうまとめ方になるのも納得かなぁと思います。
曲の力を存分に引き出しつつ、『今まで彼女たちを見てきたお前らなら、判ってくれるだろう! な!!』と言わんばかりの絵作りは、『ああ終わっちゃったな……』という感傷に浸らせるのに十分なパワーを持っていました。
落ち着いて考えれば終わってない要素も沢山あるけど、そこら辺は冬の映画で回収する部分なんでしょう。

いちごちゃんも完全燃焼という感じはなかったですが、ゆきて帰りし物語といいますか、神崎美月に憧れて神崎美月と同じ場所にまで駆け上がり、いまかつての自分のように大空あかりが追いかけているというリフレインは、やっぱり綺麗です。
一番最初のOPである『Signalize!』で使われていたいちご→美月のカットを、あかり→いちごに置き換えて再演するところとか。
こうして『アイカツは終わらない』という空気を画面として醸造できるのは、やっぱ強いですね。

夢のバトンを繋ぐ演出という意味では、今回のステージは豪華で可愛くて、先輩と後輩の差もよく出ていて素晴らしいステージでした。
あかりちゃんピンの物足りなさを、ソレイユがジャンプ・インした時の『待ってました!』という感覚に変える辺り、制作スタッフの掌の上だなぁと。
オーラバリバリ完璧なタイミングでステージをこなすソレイユと、ポンコツダンスに頼りないお歌のあかりちゃんの対比とかも良かったし、勝負の場としてではなく表現の場所としてのアイカツステージは、感動で人を殺せる鋭さを未だ持ってる印象です。


さて、かくしてアイカツ二期は終わりました。
しかし、星宮いちごの物語は完全に走りきっていない印象があります。
それはアイカツ≒星宮いちごというアイコンを簡単には下ろせない事情もあるのでしょうが、冬の映画で走り切る準備なのかな、という気もしています。
さてはて、アイカツは終わらないようですね。

 

・ アイカツ(追加)
せっかく二年目の終わりを迎えたので、1年目・2年目それぞれ5本、自分なりのベストエピソードを選出してみたいと思います。


では一年目から
※第六話「サインに夢中!」
「女の子可愛いけど、如何にも女児アニだなぁ」と思っていたアイカツへの態度を、ピリッと一新させるきっかけになったお話。
児童向けらしいファンタジーで包みつつも、取材対象に真摯に向き合い、コアの部分を分かりやすく見せたアイカツ社会見学のお手本。
……思い返すと、これゆにこ先生か……。


※第十八話「チョコっとらぶ」
「結構しっかりしたアニメだぞ」と膝を正してみていたアイカツに「あ、これはキチアニメだわ」というワンポイントを追加した回。
十二話「WE WISH YOU A MERRY CHRISTMAS」でオンバシラした時点で気付けという話ですが、『男子禁制→なら女装して入ればいいじゃん!!』という発想、そしてらいち子の可愛らしいヴィジュアルのインパクトがね……よく刺さった。
ここからユリカ様が登場して名エピソードのラッシュが始まり、すっかりアイカツキチガイと化していく起爆点という意味でも思い出深いです。
……これもゆにこか!


※第二十四話「エンジョイオフタイム!」
半年折り返しというタイミングで、『女の子たちがただただのんびりする』お話をねじ込んでくる圧倒的なパワー。
お話としての起伏は一切ないのですが、青春期の少女だけが持っている透明感と多幸感を画面に閉じ込めた名エピソードだと思います。
アイカツの持っている強さが全て詰まっているお話。


※第三十五話「涙の星」
三十三話「チャンス&トライ☆」からはじまったトライスターエピソードの折り返しであり、今まで仲良しだった三人がガチで競い合う展開。
今までさんざん冷や飯を食わされてきた蘭ちゃんが勝利した結果も含めて、アイカツの厳しい側面を表に出したエピソード。
……なのだが、このあと蘭ちゃんがなまくらってレベルじゃねぇ崩れ方をしてしまうので、此処で見せた厳しさの価値も減じてしまった印象が。
これの回収は二期を待つことになります。


※第五十話「思い出は未来のなかに」
一期ラストエピソードであり、『私に似ているアナタと一緒に、どこまでも高みへ』というアイカツのテーマを余すところ無く描き切った最高のお話。
『カレンダーガール』フルVerをバックに、セリフ無しの長回しで五分持たせる、持たすことが許される。
作品への信頼が産んだ、あまりにも完璧な物語の終わりであり、此処で綺麗に終わりすぎたことが二期に響くことになります。


そして二期です
※第五十五話『合い言葉はオケオケオッケー☆』
きぃちゃんの数少ない個別エピソードであり、親子の情愛やコンプレックスの発展的解決など、前向きな要素をたっぷり詰め込んだリッチな回。
ただエキセントリックな新キャラだと思っていたきぃちゃんが、アイカツの女の子らしい柔らかい情感を持っていることを教えてくれました。
……このレベルでセイラときぃしか映らない回、あと二三回あって良かったんじゃないスカね。


※第七十九話『YES!ベストパートナー』
アイカツ範馬勇次郎が大暴れした負の遺産を、徹底的に掘り返し供養した超名エピソード。
お話の都合で逃げず不都合をしっかり解消し、十五分でかえで・ユリカという光の当たっていなかったキャラクターを一気に引っ張り上げる。
こういうウルトラCがあるから、アイカツは本当に凄い。


※第八十三話『おとめRAINBOW!』
二期で唯一のおとめ個別エピソードであり、マリアちゃんとのコンビ回でもあります。
三代目クイーンとして、『背中を見せて孤独に引っ張る』美月さんとも、『一緒に走れる人と高め合う』いちごちゃんとも違う、『自分から輪の中に入ってみんなを導く』おとめのスタイルを表現してくれた名エピソード。
これをわざわざベスト5にするくらいには、俺おとめのこと好きなんだな……。


※第九十五話『夢の咲く場所』
哀しいくらいに周回遅れでやって来た、音城セイラのオリジンを効果的に開示する回。
第六十五話『夢への扉』でも触れてはいるのですが、アイカツの平均的火力には足らないエピソードであり、本当にセイラの扱いは惜しかった……。
でもこの話があるので救われている、間違えていない。
そんな回です。


※第百話『夢への翼』
神崎美月、人間になるの巻。
みくるちゃんは第八十四話『咲いてミラクル!』でぐいっとキャラを立て、その遺産を使ってラスト二つのエピソードを加速させました。
誰も隣り合えなかった『私に似ているアナタ』を美月が遂に見つける展開は、ほんとうに素晴らしかった。


こんな感じです。
他にも可愛かったり、面白かったり、良く出来ていたり、重要だったりするエピソードはたくさんあるのですが、自分の中でのアイカツのイメージを、ガラッと変えてくれたお話を選びました。
三年目もこの十作に並ぶような、宝石のようなお話が生まれて欲しいものです。